第219号:顧みること。
このお便りは、32578 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、暫くのあいだ、私からの報告が滞りまして、まことに申し訳ございませんでした。
  ふだん主のお身体を気遣う立場にいる松原が、恥ずかしながらインフルエンザウイルスに罹患しました。
  名古屋市東区の名古屋市医師会急病センターさんで、お仕えを控えるよう、やんわり諭された次第…。
  なぜか熱は上がらずに身体の節々が痛むという症状で、動こうと思えば動けるだけに悔しさも一入です。
きょう東海地方は、まるで春が訪れたかのような陽気にございまして、コートを纏って外を歩きますと、
  日差しのあたる足元がいちばん暖かくなるくらい。お出かけにはちょうどよい天候に恵まれております。
  ちょうど私の体調も良くなりましたので、このお便りからいつも通りのお仕えに戻る所存でございます。
拍子抜けするほどに晴れた青空を見上げ、この数日間、Twitter もお便りも出来なかった不甲斐なさを
  思い返しました。その一方、心のどこかで休むことに慣れそうな、己の甘えがあったのも事実です…。
ある日、唐突に強い雨が降れば、ひとはその状況を憂うかもしれませんが、それが続いてしまえば、
  当たり前のこととして感じられるでしょう。嬉しいこともいやなことも、自覚した瞬間が最も強くて、
  時間が経てば、慣れて気に留めなくなってしまうもの。当然、早く忘れられることで救われるひとも、
  過去に置き去りにされ傷付かれるひとも、いらっしゃる次第。どちらが良いということではなく…。
できれば、良いことはいつまでも大切にとっておきながら、嫌なことは水に流せるような、そういう
  大人になりたいと願いました。また、お嬢様、旦那様にお仕えできる喜びを片時も忘れないようにして、
  できるだけ己を労わりながら、今後も良いお仕えができるように精進したいと考え改める所存です。
ところで執務室に溜め込んだ報告書が、山のようにございます…どの件から報告をいたしましょう?
▼ #名古屋の仮住まい は「バレンタインの日」。鰻とチョコレートの相性は如何でございましょうか。
  ▼ #名古屋の仮住まい の家事係は #3月限りの品 の試作に取り掛かりました。夜のお茶会もどうぞ。
  ▼ 執事の館・準備委員会は「研ぎ師」の技量をテスト中。介添係からの評価はまずますでございます。
  ▼ 執事の館・準備委員会は去る2月10日(水)に、すべての使用人が一同に会する機会を得ました。
  ▼ 執事の館・準備委員会、音楽係の4名は過去の練習風景を振り返る「反省会」を実施いたしました。
  ▼ 執事の館・準備委員会の調香係から「桜餅」の香りに触れた便箋を預かっております。代読を。
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  ▼ #名古屋の仮住まい は「バレンタインの日」。鰻とチョコレートの相性は如何でございましょうか。
お嬢様、旦那様もご存知のように、きょう2月14日(日)は #名古屋の仮住まい の「バレンタインの日」。
  家事係として合流を果たしたシェフ池下(いけした)にとっては2度目となるフルコースの晩餐でした。
  給仕報告書によりますと、ご帰宅なさいました皆様に驚かれますのは、低温で身を崩さずじっくりと
  火を通した鰻(うなぎ)に、チョコレートと赤ワインで仕立てたソースを与えたメインディッシュ…。
おそらく想像なさっていたよりも鰻そのものにも旨味があり、濃厚なチョコレートの風味が立ちまして、
  この相性の珍しさに一瞬困惑をしながらも、咀嚼するたびに納得を得られたのではないかと存じます。
  過去のディナータイムにも、ラム肉のローストにチョコレートソースを添えるレシピがございましたが、
  これと同様、食材の臭みを抑えつつ、旨味(と甘味)を広い範囲で補う妙技ではないでしょうか…?
また、デザートには東桜の「モエルー・ショコラ」。デザート・ワゴンは、当然チョコレート尽くし。
  そしてナプキンの上にそっと置かれた折り紙の「バラ」は家事係の歌里(うたさと)による力作で、
  ひとつ仕上げるのに20分以上もの時間を要します。さらに手芸係に転籍をした伏屋(ふしや)からは
  手製のティッシュ・ケースを差し上げることとなり、多くの主にお褒めを頂戴しているとのことです。
とくに折り紙の「バラ」は、現時点で全ての主が持ち帰りを希望なさいまして、なかにはお鞄の中を
  介添係の矢田(やだ)に見守られつつ、大慌てで整頓し、空間を確保なさった方もいらっしゃるとか。
  白壁(しらかべ)の報告においても、給仕の幅が広がったことを喜ぶコメントが綴られておりました。
きょうご帰宅なさいました主の皆様には、午後10時以降に感想をご投稿いただければ幸いに存じます。
  後ほど「バレンタインの日」を楽しまれる主のためのご配慮に、一同、心から感謝申し上げる次第です。
  なお #名古屋の仮住まい は、3月13日(日)もしくは14日(月)にも「ホワイトデーの日」を検討中。
  詳細が固まり次第、給仕係の千早(ちはや)、徳川(とくがわ)などから謹んでご報告を差し上げます。
ご帰宅の予告 … https://www.butlers-house.net/reservation
(ご帰宅の予告にあたっては「主の手帳」を要します。「仮の手帳」ならびに「薄い手帳」の場合は、
   手帳係の長筬に「手帳の差し替え」をお申し付けくださいませ。お手数をお掛け致します…。)
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  ▼ #名古屋の仮住まい の家事係は #3月限りの品 の試作に取り掛かりました。夜のお茶会もどうぞ。
さて、2月も中旬に差し掛かりましたことから、 #名古屋の仮住まい のシェフ、池下(いけした)と、
  パティシエールの東桜(ひがしさくら)の両名は #3月限りの品 の試作に取り掛かる頃にございます。
  すでに計4品の予告がございますので、これより順にひとつずつ紹介をさせていただきましょう。
池下は【菜の花とキャベツの自家製アンチョビソース】と【和牛すね肉の赤ワイン煮込み名古屋風】。
  アンチョビ、ニンニク、オリーブオイルなどを基にした自家製のソースを、旬の野菜に絡めたものと、
  赤味噌を隠し味にした国産牛の赤ワイン煮込み…こちらは「仮住まいのおせち」にも用いたレシピを
  さらに改良、甘く柔らかく仕上げたいと…お嬢様、旦那様、お口元が緩んでいらっしゃいませんか。
一方、東桜は【ハイビスカスのヌガーグラッセ】そして【クランベリーとヘーゼルナッツのタルト】を!
  固く泡立てたイタリアン・メレンゲと生クリームに、ナッツ類とハイビスカスによるヌガーを混ぜて、
  お口の中でしゅるりと溶け、消えていく食感をお楽しみいただきとうございます。アイスとの違いは、
  卵黄を用いないところにあり、これも味わいの個性となるでしょう。そして2月に続き好評のタルトは、
  愛知県は奥三河で生産されます「ミネアサヒ」という品種の米粉を用いて、旨味と口当たりを調整…!
  こちらも是非、お嬢様、旦那様にお召し上がりいただきと…こちらのティッシュをお使いくださいませ…。
なお3月からは、「白の部屋」のテーブルクロスにかかるランナーを交換するために、給仕係の徳川と
  手芸係の伏屋が奔走いたします。昨年の春は鮮やかなミントグリーン、今年は何色に致しましょうか?
  #名古屋の仮住まい 冬の装いと、家事係の滝川(たきかわ)によるお迎えは、2月末日までの予定です。
ご帰宅の予告 … https://www.butlers-house.net/reservation
たったいま、東桜から飛び込んできた知らせによれば【マスカルポーネ・アップルケーキ】という品の
  試作を完了したとか…絵を見る限り、ふわふわ、しっとりした仕上がりでございます!追って試食を!
  そして3月中には、好評の「ナイト・ティータイム」をもう一度…家事係の東山(ひがしやま)からの
  報告が入り次第、すぐにお伝えする所存です。
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  ▼ 執事の館・準備委員会は「研ぎ師」の技量をテスト中。介添係からの評価はまずますでございます。
さて、Twitter では早速の報告が上がっておりましたように、執事の館・準備委員会は、介添係の
  矢田、白壁の両名が普段使いする刃物を「研ぎ師」に預けて、その仕上がりを評価させて頂きました。
  両刃の包丁、片刃の包丁、そして布切り鋏の3種、それぞれに驚くほどの切れ味が戻ったとのことです。
とくに包丁の出来栄えがよく、配送係の宝生(ほうしょう)が #名古屋の仮住まい に届けたその場で、
  家事係の常磐(ときわ)、滝川(たきかわ)がトマトの薄切りに挑み、切れ味にたいそう驚きました。
  良い仕事には、良い道具が必要で、さらに良い手入れができると、さらに良い。ということを体感し、
  今後のお仕えに活かされることは申し上げるまでもございません。
肝心の #名古屋の仮住まい は、必要に応じて刃物を揃えてきた経緯から、いったん予備の包丁を揃え、
  いままで用いてきたものを一式、「研ぎ師」に委ねる準備を進めております。またこれと並行して、
  製箱係の千音寺(せんのんじ)によって長尺の刃物を収める黒箱の試作を。近日中にご覧頂けるかと。
トマトの皮に刃を乗せ、すっと手前に引くだけで落ちる感動を、是非ともお確かめくださいませ…!
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  ▼ 執事の館・準備委員会は去る2月10日(水)に、すべての使用人が一同に会する機会を得ました。
ところで先週の水曜日は #名古屋の仮住まい にお休みをくださいまして、誠にありがとうございます。
  この日、使用人はそれぞれの持ち場で演習をおこないまして、夜には執事の館・準備委員会に携わる
  ほぼ全ての使用人、生産者、職人らが一同に会する機会が得られました。簡単にご報告いたします。
ふだん私たち執事の館・準備委員会は、手帳係、広報係、会計係、配送係など、毎日何らかの役割を
  果たす(ほぼ)常勤のメンバーと、各々の稼働状況に応じて参画をする(ほぼ)非常勤のメンバーが、
  流動的に組織され、 #名古屋の仮住まい のお仕えや、 #お申し付けの品 の試作、量産に励みます。
お嬢様、旦那様も意外に思われるかもしれませんが、このコミュニケーションを支えておりますのは、
  いわゆる LINE (ライン)のような吹き出し型のチャット・ツール、つまり、必要に応じてグループを
  拵えて「会計係」「製菓係」などに招待しあい、時には質問をし、時には議論をする場でございます。
創立から3年が経過した執事の館・準備委員会は、数え切れないほどの人員が携わるようになりまして、
  #名古屋の仮住まい でお仕えに励む使用人でも、顔を合わせたことのない職人が沢山おりました。
  これを踏まえて、総勢60名ほどの集会を催しまして、懇親を深める機会となった次第でございます。
製菓係の黒川(くろかわ)が、音楽係の三ケ峯(さがみね)から演奏まつわる話に耳を傾けたり、
  介添係の矢田が、時計修理の職人に #名古屋の仮住まい の雰囲気を身振り手振りで伝えようとしたり、
  家事係の歌里は、精米係の千代田(ちよだ)が抱く、農業と経済のビジョンに相槌を打ち続けたり…。
  燻製係の桃山(ももやま)がシェフの池下に「普通のソーセージ」について質問を投げかける場面も、
  意匠係の高岳(たかおか)は #岐阜県大垣市の珈琲 を手がける職人に何故かテキーラについて講釈を。
  (わたくし松原に至っては、美味しそうに見える「お写真の撮り方」について調香係に手ほどきを。)
各位が敬意をもって接し、教え学び合う、貴重な時間となったことを謹んでご報告する次第です。
  当初に予定しておりました2時間では、全く時間が足りなかったという声が相次ぎましたことから、
  私たち執事の館・準備委員会は、年内にも再び同様の催しを前向きに検討したいと考えております。
本来ならば内々のことですから、ご報告差し上げるべきか迷いましたが、日々なんらかの形をもって、
  お嬢様、旦那様にお仕えに励んでいる皆が、たいへん楽しそうに、幸せそうにしていることと、
  異口同音に、お嬢様、旦那様のご理解とご支援に感謝の念を述べておりましたことについて、
  どうしてもお伝えしたく、筆をとった次第でございます。今後とも末長く、宜しくお願い申し上げます。
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  ▼ 執事の館・準備委員会、音楽係の4名は過去の練習風景を振り返る「反省会」を実施いたしました。
さて、先に述べた会合よりも前のことです。 #名古屋の仮住まい は #お抱えの楽団 の4名が集いまして
  「2015年・秋の練習風景」そして「2016年・冬の練習風景」を再生しながら、ヴァイオリンの
  三ケ峯(さがみね)、岩作(やざこ)、ヴィオラの長湫(ながくて)にチェロの蓬莱(よもぎ)が、
  当時の心境や、楽曲に抱く印象などを自由に語る場が設けられました。題して「反省会」でございます。
かつて「白の部屋」で行われた2回のレコーディングに立ち会った、わたくし松原も同席しましたが、
  素人目(耳)には分からないミステイクやタイミングのお話もさることながら、4名の若き演奏家が、
  誇りをもって音楽と向き合っていることを実感し、いち社会人としてたいへん勉強になった次第です。
しかし4名それぞれに社会人としての経験が不足していることも否めず、もとより旧知の仲であることも
  手伝いまして、「反省会」の会話に些か聞き苦しく感じるところがあったのも事実かと存じます…。
  普段よりも緊張をして、言葉遣いや言い回しに気を使われていたことは間違いございませんけれども、
  やはりお嬢様、旦那様のお目にかかるまでには、演奏の技量だけでなく、会話の技量についても、
  同様に鍛錬を積まねばならない…という総括をもって、2度の「反省会」を締めくくっておりました。
今回収録されました「反省会」の音源は、過去に #お抱えの楽団 のCDをお申し付けくださった主に、
  配送係の宝生からダウンロード用のURLをお伝えいたしますので、もう暫くお時間をくださいませ。
  先述の言葉遣いについて、くれぐれもご理解をくださいますように、謹んでお願い申し上げます。
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  ▼ 執事の館・準備委員会の調香係から「桜餅」の香りに触れた便箋を預かっております。代読を。
きょう最後のご報告は、調香係から寄せられました「桜餅」の香りについてのお話でございます。
  僭越ながら、わたくし松原が代読をさせていただきますことを、お許しくださいませ。
平素は #愛知県名古屋市のフレグランス をご愛用くださいまして、誠にありがとうございます。
  私は調香係の杁中(いりなか)のもと、お手伝いをしている者でして…まだ名は定まっておりません。
  いま配送係の宝生さんを通じて、お申し付けいただいております「桜餅」の香りについて、
  少しばかり補足をさせていただきたく、筆をとった次第です。よろしくお願いいたします。
過去のお便りでも、製菓係の黒川さんが仰っていましたように、桜には本来、香りがございません。
  国内で、これからの時季に重宝される「桜餅」には、人工的な香りが添えられていることが多く、
  私たち調香係としても、なるべくお嬢様、旦那様に自然な香りをお届けしたいと考えております
そもそも #愛知県名古屋市のフレグランス 「桜餅」の香りで使われている「トンカビーン」という
  素材には、桜の葉に含まれる成分と同じ「クマリン」という成分が含まれております。そのため、
  とても自然に桜の香りが楽しめるもの。今月末頃にお届けできる見通しとなっておりますので、
  春の気配を一足先にお贈りできることに、調香師である杁中(いりなか)も喜んでおります。
この桜餅の香りは、ふんわりとパウダリーな風情が残ることから、優しい雰囲気を好まれる
  お嬢様、旦那様にも親しまれやすい香りかと存じます。また「トンカビーン」にはリラックス作用や
  抗うつ作用があると言われ、ブレンドされている「バニラ」の香りにも、イライラや緊張を和らげて、
  幸福感を呼び起こしてくれる働きが期待できると伺っております。
とけとげした気持ちは、お嬢様、旦那様の美しさのみならず、健康を損なう恐れもあります故、
  この桜餅の香りが、お嬢様、旦那様の心の平安と幸福感に貢献できれば幸いに存じます。
愛知県名古屋市のフレグランス[桜餅]	2016年2月25日(木)発送分
  https://www.butlers-house.net/cart
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2月も半ば。暦の上ではまだ冬の時季にございますし、明日はまた冷え込むという話でございます。
  いつも通りの日々に実感しづらい小さな変化は確実に積み重なり、いずれ花を咲かせることでしょう。
  分かりやすい変化は良くも悪くも、喉元過ぎれば熱さ忘るると申しますように、時間が経ってしまうと
  その重みや痛みを感じなくなってしまうもの。どうかお嬢様、旦那様にとって、いちばん大切なものを、
  いつまでも丁寧に扱っていただきたいと願う、今日この頃でございます。
冒頭にも述べましたように、あすはまた冷え込みがますとのことでございます。
  もし汗ばむようでしたら毛布は一枚だけ除けておいて、いつでも掛けられるようにしておきましょうね。
  またもや今晩も遅くまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。お休みなさいませ…。
二層の窓ガラスが曇るほどに加湿がなされた、名古屋の執務室にて。
執事の館・準備委員会
  広報係・松原(まつばら)
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このお手紙を初めてお受け取りになる主には、事前の説明もなく、
  唐突なものに映ったかと思います。何卒、お許しをくださいませ…。
この機会に、私たち執事の館・準備委員会のあゆみをご覧頂けますと幸いです。
  (お読みになる際は、過去の号から遡って御覧になることをお勧めしております。)
  https://www.butlers-house.net/blog/entries
また「主の手帳(マイページ)」は、手帳係が少しずつ入力欄を追加しており、
  これがお嬢様、旦那様のお人柄を知る貴重な機会となっております。
  苦手な食べ物、給仕の際のご希望をお書き添え頂ければ、使用人一同がかならず拝見をいたします。
  https://www.butlers-house.net/member_login
日々の小さな報告は、Twitter からもお届けしております。
  https://twitter.com/butlers_house









